静岡県伊豆市は、市内の路線バスが乗り放題になる定期券「伊豆市スクールパス」を市内の中学に通う中学生全員に無料配布する。この事業費6344万円を盛り込んだ2025年度の一般会計当初予算案を6日に発表した。
伊豆市では修善寺、中伊豆、天城の3中学を統合した「伊豆中学校」が4月に開校する。中学生バス乗り放題事業は、新中学に通う約450人と土肥小中一貫校の約30人の計480人が対象となる。
これまで市は路線バス通学の定期券代を全額補助してきた。少子化により部活動が合同練習になり、練習会場までのバス代などが保護者の負担になっていた。公共交通を担う事業者を支援する側面もあり、市は東海バスと1年半にわたって協議してきた。
菊地豊市長は「バス乗り放題で中学生の行動範囲が広がり、多様な選択肢を与えることができる。都市部の学校で示される多様なメニューに負けたくない」と語った。
南海トラフ地震に対する備えにも力点を置いた。市民の憩いの場と避難場所の役割をもち、危機管理センターが置かれる防災公園「ひなた公園」の整備や、現実に即した観光防災避難訓練などに約13億円を盛り込んだ。菊池市長は「真剣に防災に取り組むことで伊豆市の付加価値や観光地としてのブランドを高めたい」と話し、「いごこちの良い防災立市」をめざす予算案と位置づけた。
当初予算案の一般会計は大型インフラの整備がほぼ終了したことから215億円(前年度比11・7%減)と減少に転じ、特別・企業会計を合わせた総額も323億円(同9・4%減)となった。